前回の「運輸ブログ」では

運転中の急死について 記しました。

今回も 引き続きこのテーマに関連する事柄について みていきたいと思います。

「突然意識がもうろうとして、記憶がなくなった。アパートに衝突した記憶はない」

昨年1月 東京都小金井市で、 回送中の路線バスが 歩道に乗りあげ、アパートに突っ込んだ事故がありました。

通行人などにけがはなかったが、50歳代の男性運転手は事故後、国の事業用自動車事故調査委員会の調査に対し、そう話しました。

これ以外にも、昨年9月13日には、

千葉県の東京湾アクアラインで、

高速バスの60歳代の運転手が脳出血となり、軽乗用車に追突。異常に気付いた乗客が急ブレーキをかけて停車させたという事故も。

11月17日 ニュースで取り上げられていたのは

一般のドライバーではなく

運転中に急病で死亡したトラック、バス、タクシーの運転手についてでした。

その数はなんと 昨年までの5年間で計196人に上ったといいます。

また 第三者が巻き込まれて死傷した事故も86件発生。

脳や心臓の疾患が多くを占めていることから、

国土交通省は、ドライバーに対する専門的な検査を促進するため、事業者向けの指針作成に乗り出すそうです。

いかなるドライバーも ハンドルを握っている以上は

安全に走行することは大前提ですが、

とりわけ運転を職業とするドライバーにとっては 乗務している時間も一般のドライバーとは大差があるでしょうし

人命を預かる仕事であれば 尚更それは最重要課題です。

タクシードライバーだけに焦点を絞りますと

全国のタクシードライバーの平均年齢は57.6歳に達しており、

一番高い都道府県は 高知県で 64.9歳という高齢に。

一番若い都道府県ですら 山形県の53歳という平均年齢となっています。

全産業の平均が41.7歳と比べるとはるかに高いことがわかります。

今実際に働いているタクシードライバーの平均勤続年数は全国平均で8.8年といわれていますので

平均年齢と勤続年数から タクシードライバーは おおむね40代後半や50代になってから転職されて

始めるという方が多いということになります。

タクシードライバーになるには、2種免許を取得する必要がありますが

普通免許を既に取得して一定期間経過している人であれば、

教習所へ10日~2週間程度通えば取得でき、

そこでかかる二種免許の取得費用も全額タクシー会社が負担するというのが一般的だそうです。

また お給料は歩合制をとるところがほとんどで、未経験者であっても 比較的 年収400万円程度稼ぐことも可能ともいわれています。

一般の会社であれば、65歳で定年になるところがほとんどですが、高齢ドライバーも活躍できる職種でもあります。

あるタクシードライバー求人募集のWEBサイトでは

「70歳、80歳の高齢者でも働ける!」と銘打っている会社もありました。

一般的な職業だと仕事を得にくい世代であっても タクシー業界なら歓迎されるので この業界の高齢化は止まらないでしょう。

現状ですと タクシードライバーが気軽に「具合悪いので止まります」と言いにくい状況ですし

言われても 先を急ぎたい乗客にとっては困惑しかありませんよね。

警察や国交省などが主導し、早急にタクシードライバーの高齢化対策を練るべきでしょう。

例えば 一定の年齢になったら脳ドックや本格的な心臓の検診を義務づける、

現在実用化されているASVの運転支援装置が付いている自動車を装備するといったことや

乗客側からも 異変を察知して緊急ボタン押すだけで安全に停止させることも可能なシステムも考慮させるべきでしょう。

国土交通省の調査によると、タクシーによる重大事故のうち「運転者の健康状態」に起因するものは5.8%。

しかし、自主的な報告に基づいているため過小評価されており 実際には、約1割が運転者の体調変化に起因すると考えられます。

さらに、別の調査では、報告されたタクシー運転中の体調変化の原因は、

脳血管疾患が42.9%と最も多く、心疾患が30.0%、大動脈疾患が7.1%でした。

運転中に体調変化が生じると高い確率で事故につながり、乗客のみならず

歩行者をも危険にさらすことになります。

タクシー運転者が 健康に就労できる環境を国全体で確保することが 急務となるでしょう。

引用参考:タクシー