師走になって間もなく、
福岡市で64歳の運転するタクシーが病院に突っ込み、10人が死傷した事故が起こりました。
詳しい原因はまだわかっていませんが、毎日のようにおこる悲しい交通事故に
ついついドライバーの年齢を注視してしまいます。
タクシードライバーには 基本的には 年齢制限がありません。
個人タクシーともなれば、定年もありません。
タクシーの求人には 制限も 経歴も特に必要がなく
必要な資格は運転免許のみということがほとんどなので
仕事を復帰したい方には 年配からでも始めやすい仕事であることから
タクシードライバーの高齢化も進んでいるといえます。
「高齢化」
福岡市の事故を起したタクシードライバーは64歳ということでしたが、
日本では「高齢者」を満65歳以上のことを指します。
また、総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合を「高齢化率」といいます。
国連や世界保健機構(WHO)の定義によると、
その「高齢化率」が
7%を超えた社会を「高齢化社会」
14%を超えた社会を「高齢社会」
21%を超えた社会を「超高齢社会」
としています。
日本は1970年には既に「高齢化社会」に突入しており、
1994年には「高齢社会」に 世界でも前例のない高速でレベルアップしました。
そして 「超高齢社会」への扉を開くのが2025年と予測されています。
厚生労働省によると 65歳以上の高齢者が
2025年 ⇒ 3,657万人
2042年 ⇒ 3,878万人 ← ピーク予想
このデータに伴い、懸念されるのは 認知症患者も増加していく、ということです。
2012年では 高齢者の7人に1人にあたる462万人が認知症といわれ、認知症予備軍である軽度認知障害(MCI)が400万人もいました。
厚生労働省の予測によると、2025年には高齢者の3人に1人、2050年には2人に1人が認知症かその予備軍になると予測されています。
認知症
近年、「認知症」というのは よく耳にしますよね
単純に 老化によって 物忘れが多くなったり 物覚えが悪くなるといった誰にでも起こる現象は これに含まれません。
2004年に厚生労働省による用語検討会によって それまで「痴呆症」と呼ばれていたものを「認知症」へ置き換えるようになりました。
ではその認知症とは
病気等によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。
そして認知症が進行すると、だんだんと理解する力や判断する力がなくなり、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。
三大認知症
「認知症」といっても 症状など単一ではありません。
認知症患者の全体の85%を占めるといわれているのが 「三大認知症」といわれる症状になります。
アルツハイマー型認知症(50%)
脳の海馬を中心に萎縮して 新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなる等が特徴
レビー小体型認知症(20%)
実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が特徴
血管性認知症(15%)
脳梗塞や脳出血などによって 脳の一部が壊死し発症し、手足のしびれや麻痺、感情のコントロールが不安定といった症状が特徴
認知症のドライバー
2011年から2013年 大阪と名古屋の65歳以上の約1万人の調査によると
認知症の疑いのある男性高齢者の6割が 運転を継続している、という結果が出ました。
又、2011~13年の高速道路逆走は3720件。1日あたり約3件!
そのうち、高齢者によるものが7割で、
さらにそのうちの4割は認知症の疑いがあるとみられています。
認知症ドライバーの運転行動の傾向についても 認知症の種類によって特徴があるそうです。
アルツハイマー型認知症の方は 運転中に行き先を忘れる、駐車が上手くできなくなる等の傾向が、
血管性認知症の方には 運転操作が遅くなる特徴が見られるというのです。
また、認知症の方が進行抑制のために服用している「アリセプト」といった薬品には
眠気やめまい、意識障害を起こす副作用が考えられるために車の運転を避けるように勧告しています。
このように高齢者ドライバーの中には「認知症」もしくは「認知症予備軍」が含まれている可能性が高いので
隣りの車線、前後のドライバーが もしかして。。。 とも考えられます。
気を引き締めて よりいっそうの安全運転を心がけましょう。
引用参考:認知症