一般的にトラックより大きいものを運ぶ際、あるいは変則的な貨物の場合、トレーラを利用することが多くなります。
大きな貨物でも、解体可能であればトラックで問題なく運べますが、中には解体できないものもあります。
そのようなとき、トレーラは便利に使用できます。
では、トレーラにはどのような特徴があるのでしょうか。
トラクターとトレーラ
トレーラとは、トラクターとトレーラを連結した車両の一般的な呼び名で、正式には「連結車両」といいます。
連結車両のトラクタとは、原動機と牽引装置を備えてトレーラを牽引する自動車のことをいい、トレーラとは、それ自体では原動機を持たず、トラクターに牽引される車両を表します。
狭い意味でのトレーラを表す場合には「トレーラ部分」という表現を用いることにします。
トレーラの種類
トレーラにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると、セミ・トレーラ、フル・トレーラ、ポール・トレーラの3種類があります。
また、フル・トレーラに似たものとして、センターアクスル・トレーラもあります。
トレーラのブレーキ
トレーラには、安全を確保するためにいくつかのブレーキが装備されています。
主なものをあげてみましょう。
フットブレーキ
トラクター部分とトレーラ部分の全ての車輪に同時に作動します。
トレーラブレーキ
トレーラ部分に作動するもので、運転席のレバーで操作します。
排気(エキゾースト)ブレーキ
トラクター部分の後輪に作動するもので、運転席のレバーで操作します。
エマージェンシーブレーキ
トレーラ部分に作動する非常ブレーキで、エマージェンシーラインが破損したときや、ブレーキ・エア圧が低下したときに自動的に作動します。
スプリングブレーキ
トラクター部分のパーキングブレーキであるとともに、ブレーキ・エア圧の低下時に自動的に作動する非常ブレーキです。
最近は、トレーラ部分にも装着されつつあります。
パーキングブレーキ
トラクター部分にはレバー式、トレーラ部分にはねじ式のものが装備され、それぞれ独立して操作し、作動します。
トレーラの走行特性
連結車両であるトレーラには、他のトラックと異なるさまざまな特性がありますから、その特性をよく理解して走行する必要があります。
内輪差が非常に大きい
トレーラは、大型トラックよりも内輪差が大きく、特にセミ・トレーラの場合は非常に大きくなります。
そのため狭い道路に左折するときなどは、いったん右に振ってから曲がることがあり。その際に左側に入り込んだ二輪車などを巻き込むことがあります。
右折の場合には、右折していく道路に停止している車にトレーラ部分が接触することがありますから、右左折時には、側方や後方など周囲によく目を配るようにします。
側方の死角が大きくなる
特に左折するときには、左側のミラーに映る範囲が狭くなり、左後方の死角が大きくなります。
そのため、二輪車などを見落としたり、発見が遅れることがありますから、安全確認は慎重に行う必要があります。
カーブで対向車線にはみ出すことがある
きついカーブでは、トラクター部分は対向車線にはみ出さなくても、トレーラ部分がはみ出すことがあります。
左カーブでは、トレーラ部分の前部がはみ出しやすく、右カーブではトレーラ部分の後部がはみ出しやすくなりますから注意してください。
ジャックナイフ現象を起こす
トレーラは連結車両のため、急ブレーキなどでトラクター部分とトレーラ部分のバランスが崩れて連結点で「くの字」の形に折れ曲がることがあります。
その形がジャックナイフに似ていることから、一般に「ジャックナイフ現象」と呼ばれています。
ジャックナイフ現象が発生する主な原因として、次のことがあげられます。
・急ブレーキ、急ハンドル、急発進など「急」のつく運転
・過積載運転
・ブレーキとハンドルの同時操作
・2段飛びなどの急激なシフトダウン
特にカーブや下り坂を走行するときや、路面が濡れていたり積雪している場合などは、ちょっとしたハンドルやブレーキ操作でジャックナイフ現象が発生することがありますから、十分な注意が必要です。
トレーラは、トラックと異なりトラクタとの連結車両です。
連結部分がどう動くのかをきちんと知っておく必要があります。
どのような動きをするのかを学んでおくことで、さまざまな事態に対応することが可能です。
また、車両そのものも大きいため、より周囲に配慮して走行する必要があります。
トラック、トレーラかかわらず、これからも安全運転に努めましょう。
引用参考 道路・車種に応じた運転