トラックで安全に走行するためには、運転方法ももちろんですが、車両そのもののメンテナンスも必要です。
日々トラックの状態を確認し、より良い状態を維持しましょう。
日常の車両の維持管理
日常の点検・整備の良し悪しが燃料消費や排出ガス(NOx、PM、黒煙など)の減少に影響します。
また、不正改造を行ったり粗悪な軽油(不正軽油)を使用すると排出ガスだけでなくエンジンやその他の装置に悪影響をおよぼす恐れがあります。
エア・クリーナの目詰まり
エア・クリーナの役割りは、エンジンの燃焼室に吸入する空気に泥やほこりなどの不純物が混入するのを防ぎ、シリンダの摩耗を減らし、燃焼状態を良好に保つことにあります。
このエア・クリーナが目詰まりすると、吸入空気量が少なくなり、燃費が悪くなり出力が低下するだけでなく、黒煙の量が増加することになります。
エア・クリーナの目詰まりの状態をダストインジケ一夕ーなどによりチェックし、必要に応じて清掃又は交換します。
エア・クリーナには、ドライタイプ(乾式)とビスカスタイプ(湿式)とあり、それぞれ取扱いが異なります。
ドライタイプ(乾式)のクリーナの場合は、エア・クリーナのエレメントを取り外して清掃します。
内部より外側に向けて、圧縮空気を吹きつけて空気中のごみやほこりを落とします。
ビスカスタイプ(湿式)は、エレメント自体を交換します。
ビスカスタイプ(湿式)のエレメントは、乾式のような清掃はしません。
この他に、メーター内のランプで表示するタイプもあります。目詰まりの場合は、赤くなります。
エンジンオイルの定期的な交換
エンジンオイルの劣化は、汚損、酸化、添加剤消耗の3つに分けられます。
長時間の使用によるこれらの劣化が、エンジン性能に悪影響を与えることになります。
このため走行距離などに応じて適切なエンジンオイルの交換が必要となります。
エンジンオイルを寿命以上に長く使うと、エンジンオイルの粘度が高くなり、エンジンを傷めるだけでなく燃費も 3 〜 5%悪くなります。
交換予定距離や交換予定日を運転席にテープなどを貼って明示し、その交換時期に達した時点で確実に整備管理者などに報告するようにしましょう。
エンジンオイルの規格
エンジンオイルの規格は、DH − 1、DH − 2 や DL − 1 といった JASO 分類によるものと、CD 級や CF 級といった従来からの API 分類によるものの 2 つがあります。
DH − 1
CF、CF − 4 の中の高性能油に相当します。
日本の排ガス規制エンジンに適するディーゼルエンジン油。EGR 装着車に最適です。
DH − 2
排ガス後処理装置(DPF)が装着されたトラック用です。
DH − 1 に比べて DPFが機能するように硫酸配分、リン・硫黄分などの数値が規定されています。
DL − 1
排ガス後処理装置(DPF)が装着された乗用車クラス用です。
トラックと比べてDPF の容量が小さいため、詰まりの原因となる硫酸配分などが DH − 2 よりさらに低減されています。
ディーゼル ・ エンジン用
CD:汎用ディーゼルエンジン用
CE:高負荷ディーゼルエンジン用
CF・CF – 4:高負荷・高速ディーゼルエンジン用
CF:清浄能力に優れる。EGR 車
CF − 4:熱安定性に優れる。
エンジンオイルの交換時期
JASO 区分のエンジンオイルは、利用目的に応じて規格が制定されているため、規格間の比較はできません。
メーカーによっては、複数種類の DH − 2 規格のオイルを販売しています。
基油が鉱物油よりも合成油の方が一段と長寿命(ロングドレイン)になっています。
API 区分では、 CD 級より CF 級とグレードが上がるほど交換時期が長くなります。
これらを参考にして、実際に使用する車両の月間走行距離や一般道路と高速道路の走行割合などを勘案して使用するエンジンオイルを決めると良いでしょう。
鉱物油
DH- 2 マルチグレードオイル 2 万~ 4 万 km 3 万~ 6 万 km
CF級マルチグレードオイル 2 万~ 3 万 km 3 万~ 5 万 km
CD級シングルグレードオイル ~ 1 万 km 1.5 万~ 2 万 km
合成油 DH- 2 マルチグレードオイル ~ 5 万 km ~ 10 万 km
マルチグレードオイル ~ 5 万 km ~ 10 万 km
エア・クリーナーやエンジンオイルなど、大きめな部分の管理はとくに重要です。
また、例えば車内の整理整頓など、細かな部分もきちんとしておくと更に安全運転に繋がりますよね。
トラック内外をきれいにし、大切に、安全に走行しましょう。
引用参考 エコドライブ推進マニュアル