トラックなどの車両を適切に維持するには、さまざまな点検や選択が必要です。
そして車両が整備されていることで、安全運転に繋がるのです。
エンジンオイルやタイヤなど、ひとつひとつ確認していきましょう。
エンジンオイルの選択
マルチグレードエンジンオイル(高性能油)の使用
エンジンオイルは粘度が低いほど燃費が良くなり、粘度が高い程燃費は悪くなります。
また、粘度の低いエンジンオイルほどリング摩耗、メタル焼付、摩耗損失が早く始まるといわれています。
この相反するオイルの性能を同時に満足させるのが“マルチグレードエンジンオイル”で、低温では粘度が低く、高温では粘度が高いという特性を持っています。
マルチグレードエンジンオイルは、広い温度範囲で使用が可能です。
したがって、季節で使い分ける必要はなく、さらに始動性に優れており燃費改善効果も期待できます。
マルチグレードエンジンオイルの使用により約 3%の燃費の改善が期待できるといわれています。
さらに、市場では省燃費を目指した 5W − 30 が普及しつつあります。
高性能エンジンオイルの使用
最近のディーゼル大型車には、NOx の排出を抑制する対策として EGR(排ガス再循環)装置を装着しているものが多くあり、この装置の導入により、従来に比べてエンジンオイルの中の不溶解分の増加量が約4〜5倍、オイルの寿命といえる全塩基価の減少速度は約3倍に達するというデータが発表されています。
こうしたエンジンに対して従来のエンジンオイルを使用すると十分その効果を発揮できないというケースが出てきております。
しかしながら、こうした悪条件下でもエンジンオイルに求められる三要素である省燃費、オイル消費節減、オイルの長寿命化を実現したのが高性能エンジンオイルです。
高性能エンジンオイルに添加される清浄分散剤は、清浄作用、分散作用、酸化防止作用にも優れ、EGR 装置によって汚れやすいエンジンオイルの長寿命化を実現しております。
車両の管理者は使用する車両の排出ガス抑制装置の特性、作業条件などを考慮して、適切なエンジンオイルの使用管理をすることが大切です。
DPF 装着車には DH − 2 エンジンオイルを使用
ポスト新長期排出ガス規制に適合するため、ほぼ全ての新型ディーゼル車に DPF が装着されています。
従来のエンジンオイルを使用すると、金属系添加剤がフィルタに堆積し、かつ、再生燃焼でも除去できずにフィルタに目詰まりを起こします。
これを改善しているのが DH − 2 規格のエンジンオイルです。
車両の故障を未然に防ぐためにも、また、燃費向上のためにも、DPF 装着車両にはDH − 2 規格のエンジンオイルを使用することが大切です。
タイヤの空気圧
タイヤの空気圧と燃費
タイヤの空気圧が 200kPa(キロパスカル)(= 2.Okgf/cm2)低いと、燃費は約3%悪くなるといわれます。
空気圧が高いと燃費は良くなりますが、バーストなどが起きやすくなり、安全上の問題が生じることになります。
したがって、タイヤの空気圧は常に適正な範囲にしておかなければなりません。
タイヤの空気圧が高いと、次のような問題が生じます。
・コード切れ及びバースト
・タイヤ寿命の短縮
・偏摩耗(センター摩耗)
・乗心地の悪化
タイヤの空気圧が低いと、次のような問題が生じます。
・内部発熱によるトレッド部とカーカス部のはがれ
・タイヤ寿命の短縮
・偏摩耗(片減り、肩落ちなど)
・燃費の低下
タイヤの空気圧が適正な範囲にあるかをチェックします。
チェックはタイヤが冷えた状態で必ずエアゲージを使って行います。
タイヤの表示方法の例
タイヤのサイドウォールには、そのタイヤのサイズ及び能力などが数字記号を使って表示してあります。
タイヤの摩耗と燃費
摩耗したタイヤは、トレッドの動きが少なく、ころがり抵抗が小さくなるので、燃費自体は良くなります。
しかし、摩耗したタイヤは、濡れた路面などで滑り易く危険なため、摩耗具合によって、適切に交換する必要があります。
タイヤは消耗していくものです。
消耗したタイヤは、安全運転が困難になります。
適切なタイミングできちんと交換できるよう、日々の点検を必ず行うようにしましょう。
引用参考 エコドライブ推進マニュアル