安全運転にはトラック車両そのものの選定も大切です。
燃費は、運転テクニックや点検整備だけでなく、車両やその仕様によっても影響を受けます。
したがって、車両やその仕様についても選定の段階からエコドライブへの配慮が必要となります。
車両の選定
大きさ(車両総重量)
実際の輸送形態をみて最適な大きさ(車両総重量)の車両を選定する必要があります。
必要以上に大きい車両で少量の荷物を運ぶことになると輸送効率が悪くなりますし、結果
的に輸送トン・キロ当たりの燃費も悪くなります。
エンジン出力
過大な出力のエンジンは、排気量が大きくなるだけでなく、重量も重くなりその分燃費を悪化させることになります。
輸送形態に合った出力のエンジンを選定する必要があります。
平坦路主体の場合のエンジン出力の例
・車両総重量 8トン級(最大積載量 4トン前後)190 〜 260PS 前後
・車両総重量20トン級(最大積載量10トン前後)300 〜 410PS 前後
燃費の良いターボ系エンジン
ターボ系エンジンはNA系エンジンに比べて大きい出力を得ることができることから、エンジンの小型化が図れます。
特に、最近のインタークーラー付きターボ車の排気量は従来のNAエンジンの6割程度と小さく、こうした小排気量のエンジンによる燃費の向上が期待されています。
ターボ系エンジンは、排気の熱でタービンを回し空気をたくさん送り込むため小さいエンジンで大きな力が出せます。
発生する出力の約 1/2 を力に変えているため、燃費が良くなります。
NAエンジンは、燃料を燃やし発生する出力の約 1/3 しか力として使っていません。
残りは排気などで捨てているため、燃焼効率が悪くなります
適切なパワーライン
車両を導入するときはトラックメーカーやディーラーに対して車両の使用条件をよく説明し、それに対応する変速ギヤーの段数や終減速比など適切なパワーライン選定のアドバイスを受けると良いでしょう。
パワーラインの選定にあたっては、用途などによって次のようなことを検討事項とします。
パワーライン選定の検討事項
① 運行距離が、近距離か、中距離か、長距離か。
② 道路勾配が、平坦か、勾配が多いか。
③ 高速道路走行か、一般道路走行か。
④ 市街地走行か、郊外走行か。
車両の軽量化
車両の軽量化による効果
燃費改善を図ろうとして車両重量を軽量化しても、実際はその分積載量の増加に回ることになり、フル積載状態では車両の軽量化による直接的な燃費向上の効果はないことになります。
しかしながら、空車時や積荷に余裕がある走行では、やはり車両重量が軽いほど燃費は良くなります。
また、車両の軽量化により車体重量が軽い分積載量が増加することになり、燃料 1ℓあたりの輸送トン・キロが増加することになります。
つまり、車両の軽量化で積載が向上すれば、広義の意味で燃費の向上に寄与することになります。
一般に、車両を軽量化するとその分燃費は良くなります。
特に、空車や積載量が少ないときは、さらに燃費の向上が大きくなります。
空車時は実車時に比べて 30%〜 40%程度燃費が向上します。
実車時より空車時の方がエコドライブの燃費改善効果が大きいということです。
車両軽量化の対策
車両軽量化の具体的方法について検討すべきポイントを示すと、次のようになります。
軽量化部材や仕様の検討
荷台の縦根太、横根太のアルミ材使用、荷台の軽量板材の使用、荷台への鉄板敷きの排除、サイドバンパー、サイドバンパーステイのアルミ材使用、幌ウイングの採用など車両の用途を踏まえた軽量化部材や仕様を検討します。
燃料タンクの容量と補助タンク取付けの必要性の検討
過大な容量の燃料タンクは燃料やタンク自体の重量により車両重量が重くなりその分燃費が悪くなります。
従って、燃料タンクは使用する車両の特性を考慮して、過大なものとならないようにします。
スペアタイヤ及びタイヤキャリアの非装着
中・大型トラックのタイヤは大きく重いことなどから、運行途中でパンクした場合ドライバー1人では交換することが困難なケースが増えています。
さらに、荷物を満載していたり道路上での慣れないタイヤ交換は危険な場合もあります。
したがって、タイヤのパンクの発生率、タイヤパンク時におけるドライバーのスペアタイヤ交換の実績、チューブレスタイヤ装着によるパンク発生率の減少などを考慮して、スペアタイヤ及びタイヤキャリアを装着しない検討をします。
工具箱取付けなどの検討
運行条件にもよりますが、車両技術の向上などにより、近年では故障も少なくなっており、工具を使用する機会も少なく、工具箱についても取り付けの必要性の有無を検討します。
また、作業内容によっては不必要な諸機材(荷締機、ローラコンベア、タイヤチェーンなど)についても、こまめに取り卸しをすることが必要です。
トラック車両の軽量化はふいの事故の防止に繋がります。
安全運転というルールは運転中だけでなく、日々の積み重ねからも守られているのです。
引用参考 エコドライブ推進マニュアル